初めまして。 来月6月から連載を始めることになりました黒田福美です。 本業は俳優ですが、25年もの長きに亘って日本に韓国の素顔を伝えたいと、様々な活動をしてきました。 編集長の柳在順さんに最初にお会いしたのは、私が初めて訪韓した84年のことです。
当時の日本では韓国関連書籍は今のように沢山出回っていたわけではありませんでした。けれど私は韓国の事を知りたいという一心で、あちこち探し回っては様々な本を読みあさっていました。 その中で異彩を放っていたのが、『蘭之島~夢の島に生きる』という柳在順さんのルポルタージュだったのです。
うら若い女性でありながら、時として路上生活者や春を売る女性達の中に果敢に飛び込み、身体を張って取材をする手法は「韓国初の女性ジャーナリスト」としてつとに有名でした。 この本には、日本語での翻訳出版にあたって書かれた序文のなかで、日本植民地時代、彼女のお母様が日本人憲兵によって恐ろしい体験をなさったことが綴られていたのです。
同年代の女性として過去の歴史をどのように感じているのか、私は是非お話を伺ってみたいと思いました。そして、その本の奥付をたよりに柳さんに連絡をとり、面会をお願いしたのです。 突然のことであったにもかかわらず、柳さんは私の滞在するホテルにわざわざ訪ねてきてくれました。
ガラス張りの明るいティールーム。私たちは小さな卓を挟んで向かい合って座っていました。 あの時のことはまるで映画の一場面のように、いじらしく、甘酸っぱい記憶として今もまざまざと思い出されます。 二人とも、「自分たちの手で何かを変えてゆくんだ」と、真剣に思い詰めていたのだと思います。
あれから25年もの歳月が流れ、お互い「堂々たるアジュマ」になりました。 けれども私たちはあの頃と少しも変わりなく、未だに情熱を胸に抱きながら、日韓をつなごうと奔走しているのです。
長い年月を経て、またこうして柳在順さんと共にお仕事ができることには感慨深いものがあります。 この25年間、日本よりはむしろ韓国ばかりを見つめてきた私に、どんなコラムが書けるかわかりませんが、私なりに精一杯努めさせて頂こうと思います。
来週からどうぞ宜しくお願い致します。
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